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歴史を観なおそう
08 /23 2011
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(2010/01/08)
ケイト・ウィンスレットレイフ・ファインズ

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原題:THE READER
題名:愛を読むひと
出演:ケイト・ウィンスレットレイフ・ファインズデイヴィッド・クロス、レナ・オリン、ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ
監督:スティーヴン・ダルドリー
製作:アンソニー・ミンゲラ、シドニー・ポラック
撮影:クリス・メンゲス、ロジャー・ディーキンス
脚本:デイヴィッド・ヘアー
原作:ベルンハルト・シュリンク
音楽:ニコ・ムーリー
美術:ブリジット・ブロシュ
編集:クレア・シンプソン
衣装:アン・ロス
本編分数:124分
製作国:アメリカ/ドイツ
製作年:2008年
長い映画鑑賞人生の中で、映画を観終わった後に、気分が悪くなり、吐きそうになった映画が1本ある。スタンリー・キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』。あの時の悪魔ともいえる邪悪な、人間の姿をした悪の化身ともいえる主人公アレックスに、その晩、うなされたことを覚えている。そして、人間だれしも、このような邪悪な部分を持っているのだろうかと不安になったが、理性と知性と、持ち前の楽観で、乗り切った晩を思い出した。

このような映画は、二度と出てこないだろうと思っていたが、なんと、この『愛を読むひと』を観終わったとき、あの時の不快感がふたたび襲ってきた。それは、映画が駄作ということではなく、秀作だからこそ、観る者にある種の感動を与えるものだった。

どちらの主人公も、同じ地球に生息している人間を、悪びれもせず、殺戮し、なんの後悔もせず、日常の生活を過ごし、愛を交わし、芸術(『時計仕掛けのオレンジ』では、ベートーベン。『愛を読むひと』では、文学。)を愉しむ。ちなみに、ヒトラーはワグナーの曲を愛したらしいが・・

最初は、観る前の評判で、ケイト・ウィンスレットの爽やかな笑顔と美しさに、思春期の青年が憧れ、恋をするラブ・ストーリーかと思って、軽く考えていたが、その時、ひとつ気になったのは、いつも暗いイメージのある、レイフ・ファインズの出演だった。彼が出るなら、きっと暗い部分があるだろうと、心の隅に置いていたら、感が当たった。

なんと、第二次世界大戦以来、60数年経った今、このような角度で、戦時中の人々を描いた映画があっただろうか?
この記事を読んでくださった方の中にいたら、教えてほしい。

時は、1958年、舞台はドイツだ。15歳のマイケル・バーグ(デヴィッド・クロス)は、学校から帰宅途中に、気分が悪くなり、通りがかった路面電車の切符切りのハンナ・シュミッツ(ケイト・ウィンスレット)に助けられる。マイケルは、猩紅熱を患い、しばらく自宅療養した後、ハンナの家にお礼に行った。その時、改めて、見たハンナの美しさと成熟した女性に魅了され、毎日、ハンナを訪れるようになる。マイケルは、21歳も年上のハンナに恋をし、虜になる。ハンナも、マイケルの母性本能をくすぐるような、ういういしさに惹かれ、互いに愛し合うのだが、ハンナは、マイケルに本の朗読をせがむようになる。”オデッセイア”から、”チャタレイ夫人”まで、あらゆる本を読んでもらうのだ。マイケルも本の中の登場人物になりきったように、力のこめて、本を読むのだった。

が、突然、ハンナは、マイケルの前から、姿を消してしまう。アパートは何の置手紙もなく、空っぽだった。

数年経ち、マイケルは、弁護士を目指し、大学で法律を学んでいた。そこで、ロール教授(ブルーノ・ガンツ)の特別ゼミを受け、実際の裁判を傍聴する機会を得た。

なんと、そこで、あのハンナを見る。被告席に座ったハンナを!

その裁判は、戦時中、ナチの親衛隊であり、ユダヤ人の収容所を監視していた看守たちの罪を問うものだった。

これは、ユダヤ人虐殺で、生き残った女性の手記により、真実が明かされたことによるもので、裁かれる元女性看守の一人が、ハンナだった。

次々と、ガス室に送りこみ、大量虐殺に手を下した看守たち。泣き叫び、恐怖に怯える人々を、次の囚人列車が来たから、収容所に入りきれないのでと、集団でガス室に送った。そんな日々の繰り返しに、自分がなんと恐ろしいことをしているのか理解できないまま、人殺しを続けた。

仕事とはいえ、人道的な理念が欠如したまま、ある空襲の晩に、移動中の囚人たちを閉じ込めていた教会が爆撃された。教会の屋根は焼け落ち、中は火の海になった。囚人たちは、鍵のかかった教会から逃げることができず、焼死した。

裁判長は、看守であったハンナに、なぜ、鍵を開けて、逃がしてやらなかったのか?と尋ねた。ハンナは、答えた”それは、できなかった。なぜなら、彼らは囚人だから、逃がすわけにはいかない。それが、私の仕事だったから。あたなならどうします?”かえって、ハンナの方が、裁判長に尋ねた。

この裁判の一部始終をマイケルは、同級生や教授らとともに、傍聴していた。ハンナに気づかれぬように。

裁判の傍聴後、ゼミで、同級生たちは、口ぐちに、非人道的な看守、つまり、被告を非難した。そして、彼らを死刑にするように望んだのだった。しかし、彼らは未来は弁護士で、どのような罪をおかしても、被告人を助ける側にいなければならない。

討論に結論が出ぬまま、また次の日も、裁判を傍聴した。ハンナ以外の元看守たちは、囚人を死のガス室に送るため、ハンナが責任者で、書類にサインをしたと言った。。裁判官は、ハンナに、サインをしたかどうか尋ね、当時の書類の筆跡と同じかどうか、法廷でサインを求められた。ハンナは、かたくなにサインを拒み、拒み続け、そして、言った。「私のサインです。」と。その結果、他の元看守たちは、数年の実刑で済んだが、ハンナは、終身刑となった。

マイケルは、ハンナが文盲であり、字が書けないことを知っていたが、法廷でそれを明かすことはなかった。ハンナ自身が、文盲であることを知られたくなかったからだ。

その後悔は、マイケルの一生に付きまとい、1976年に弁護士となった時も、同じだった。成人したマイケルを演じたのが、レイフ・ファインズだ。ここまでは、彼の回想であったわけだ。

弁護士にはなったが、妻とは離婚し、幼い娘と別居し、孤独な日々を送っていた。そして、いつも頭から離れなかったのが、ハンナとの日々と、あの法廷での後悔だった。

罪滅ぼしのつもりか、匿名で、本を朗読したテープを、刑務所にいるハンナに送った。ハンナは最初は、戸惑っていたが、テープを聞きながら、字の練習をし、とうとうマイケルに手紙が書けるようになっていた。「次は、こんな本を読んで」と。

いつものように朗読し、それをテープに吹き込んでいた日々、1本の電話が鳴った。刑務所からだった。恩赦で、ハンナが釈放されるという。ハンナには身寄りがなく、たったひとり、マイケルの名前がわかったらしい。刑務官から、「あなた以外にハンナは頼る人がいない」と言われ、マイケルは、ハンナに面会に行った。

髪は白く、腰は曲がり、しわ顔のハンナには、若き日に愛し合った美しき女性の面影はなかった。
しかし、マイケルは、出所後のハンナの住まいと仕事を見つけ、出所日にハンナを迎えに行った。

ハンナは、その数日前に、房で、首を吊っていた。

マイケルに、貯めたお金と、そのお金を生き残ったユダヤ人の娘にあげてほしいと遺言を残して。

なぜ、ハンナは、自殺したのか?なぜ、ユダヤ人にお金を残そうとしたのか?後悔があったのか?罪の意識があったのか?何の言葉もなく、ハンナはマイケルの前から消えてしまった。そして、その答えを観客に問うているようだ。そして、マイケルという戦争を知らない次世代に問うている。

レイフ・ファインズ演じるマイケルは、あの教会の焼け跡から生き残った少女を訪ね、ハンナの遺言通り、古びた缶に入ったお金を持っていった。その少女は成人し、アメリカの都会で、裕福な暮らしをしていた。差し出されたお金は、受け取らず(受け取るはずもない)、古びた缶に目をやった。そして言った。これは私が収容所でもっていたもので、誰かに盗まれた缶だと。さらに、当時、ハンナは、本を朗読してくれていた少女たちを、なるべくガス室に送り込まないようにしていたと。

ハンナがあの時代に生きていなければ、あの仕事に就いていなければ、と観客は思うであろう。

このハンナの役で、ケイト・ウィンスレットは、その年のアカデミー主演女優賞と受賞した。

言いようのない不快感が全身をおおい、吐きはしなかったが、誰かに話さなければ、今夜はまた眠れなくなるかもしれないと思い、映画好きの友人に感想を求めた。

誠実な友は答えてくれた。「日本でも、一般人への爆撃があった。罪もない人が多く死んでいったではないか。軍事協定があったにもかかわらずだ。戦争を煽った新聞などマスコミ、後に引けなかった軍人たちがいた。多くの人が死に、生き残っても、生ける屍となり、誰かの所為にしなければおさまらない。戦争は狂気だ。」

「戦争とはそういうものだ」と。



レイフ・ファインズは、期待通りのぐずのへげんのような、煮え切らない男を淡々と演じている。そういえば、レイチェル・ワイズと共演した『ナイロビの蜂』でも、ジュリエット・ビノシュと共演した『イングリッシュ・ペイシェント』でも、腹の底にぐちゅぐちゅと、何か悪いものでもあるかのような、暗い演技をする。二枚目でなければ、逆にもっと注目されたかもしれない。管理人としは、『レッド・ドラゴン』が、彼にしては活動的な役であったと思う。さらに、奇しくも『シンドラーのリスト』では、ユダヤ人の強制収容所の所長で、腹のでっぷり出たナチの将校を演じている。スティーヴン・スピルバーグ監督が、念願のアカデミー賞を受賞した大作だ。

おっとそういえば、『ナイロビの蜂』のレイチェル・ワイズも、この『愛を読むひと』のケイト・ウィンスレットと同じく、アカデミー賞主演女優賞を受賞していたね~。レイフ君、共演者に究極の演技をさせる影の立役者かも。




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久方ぶりの本格エンターテイメント!!

勇気と元気が出る映画
08 /22 2011
バーレスク [DVD]バーレスク [DVD]
(2011/04/27)
クリスティーナ・アギレラシェール

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原題:BURLESQUE
題名:バーレスク
出演:クリスティーナ・アギレラシェールクリステン・ベルキャム・ギガンデットスタンリー・トゥッチ、エリック・デイン、アラン・カミング、ジュリアン・ハフ、ピーター・ギャラガー
製作総指揮:ダナ・ベルカストロ
監督:スティーブン・アンティン
製作:ドナルド・デ・ライン
撮影:ボジョン・バッゼリ
脚本:スティーブン・アンティン
音楽:クリストフ・ベック
衣装(デザイン):マイケル・カプラン
本編分数:120分
製作国:アメリカ
製作年:2010年
久方ぶりに、本格的なエンターテイメントを愉しんだ。以前、パリの赤い風車でおなじみの”ムーラン・ルージュ”に行った時、これぞエンターテイメントとため息をもらしたことを思い出した。一秒たりとも、全身の筋肉がゆるむことなく、隙のないダンスと歌とトーク。客を楽しませる以上に芸術だ。客もかたずをのむ暇もなく、目はくぎ付け、半口を開けたまま、「I can't believe it!」と、首を少し左右に振る。身体で感じ、寝るが寝るまで、余韻に酔いしれる。映画を観ていて、舞台を観るようだった。

そんなプロフェッショナルなショーは、アカデミー主演女優賞とグラミー賞を受賞しているシェールならではで、またこの大物エンターテイナーに引けを取らないクリスティーナ・アギレラの歌唱力が、この映画を上質に仕上げている。

この手のエンターテイメント映画は、ロブ・マーシャル監督の『シカゴ』があるが、この映画もテンポがよく、二枚目俳優のリチャード・ギアも歌ったりなんかして、がんばってたよね。この映画では、なんといっても、レニー・ゼルウィガーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズ の歌とダンスの合戦が魅力的だった。さすがは、元振付師のロブ・マーシャル君と思ったが、いかんせん、この二人には申し訳ないが、歌唱力で差がついた。

さらに、これは管理人の独断と偏見によるものだが、このロブ君、『SAYURI』で、主人公に中国人を使った。日本を舞台にした映画に、日本の文化である舞子に中国人か~~と思い、これから管理人はロブ君が嫌いになった。まっ、日本人が欧米人の区別がつかないのと同様に、欧米人から見れば、東洋人は皆同じに見えるのだろう。・・・・・・しかし、あれはいかん!

まぁ、『NINE』は、まあまあだったね。だって、俳優が、アカデミー賞受賞者のダニエル・デイ=ルイス、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ、ニコール・キッドマンに、ソフィア・ローレンまで、起用している。これほどの大物ばかり使って、駄作であったら、映画界から抹殺だね。


話はそれたが、脇を固める俳優陣に『マスク2』のアラン・カミング、『ジュリー&ジュリア』スタンリー・トゥッチ『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』のエリック・デインと今、話題の俳優たち。

特に、スタンリー・トゥッチは、『プラダを着た悪魔』と先の『ジュリー&ジュリア』で、あの名女優メリル・ストリープと共演し、働く大物女性を陰で支えるタイプでは、天下一品だ。管理人としては、99年の『真夏の夜の夢』でパックを演じた時、シェークスピアならではの小気味良いせりふ回しに、イギリス人俳優だとばかり思っていた。が、イタリア系アメリカ人だった。
『Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?』のハリウッド版で、竹中直人の役を演じたことをご存知の方も多いだろう。

さて、映画のあらすじは、クリスティーナ・アギレラ演じるアリが、一流の歌手を目指し、片田舎から夢を追い求めてロスへやってくる。そこで偶然目にしたゴージャスでセクシーなダンスと、テス(シェール)の魅力的な歌だった。クラブの経営者であるテスに面会を求めるが、相手にされず、バーテンダーのジャック(カム・ジガンティ)の紹介で、ウェートレスをしながら、ダンサーのオーディションを受ける。はじめは、バックのダンサーだったが、クラブの花だったニッキ(クリステン・ベル)が、アル中のため舞台から降ろされた腹いせに、ショーを台無しにしようとしたとき、アリは、バック演奏なしで、歌を歌い始める。その歌唱力に、皆、感嘆の声をあげ、テスは降ろされようとした幕を上げさせた。

それから、アリを中心に、毎夜、ゴージャスなショーが繰り広げられ大盛況だが、実は、テスが経営する”バーレスク・ラウンジ”は、借金に追われ、期限までにお金をつくらないと、銀行から差し押さえられることになっていた。共同経営者の元夫ヴィンス(ピーター・ギャラガー)は、不動産屋で、毎夜、クラブにくるマーカス(エリック・デイン)に店を売ろうとする。しかし、それをかたくなに拒むテスは、命をかけてクラブを守ろうとする。

結末は、ハッピーエンドなのだが、脚本はともかくとして、”バーレスク・ラウンジ”のショーは十二分に楽しめる。6歳のころから舞台を踏んでいるアギレラは、この映画のために曲を書き下ろした。また、シェールは、60代とは思えないセクシーさで、いまでもラスベガスでも、絶大な人気を誇るエンターテイナーだ。

この二人を一つのスクリーンで観ることができるのも、この映画の良さ!

クリスティーナ・アギレラの小柄な体から噴き出る歌とダンス、ハスキーで渋みのあるシェールの歌と演技力、そしてプロフェッショナルなダンサーたち。

午前中は落ち込んで、何もする気がなかった君たち、この映画とともに、勇気と元気が湧き出てくるよ♪♪

音楽だけ楽しみたい方は、こちらで、サウンドトラック版が出ています。試聴もできるよ♪






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