淡々と描く映画の中に人生そのものがある!

頑張って日本映画
02 /10 2009
東京物語(TV版) [DVD]東京物語(TV版) [DVD]
(2003/07/25)
宇津井健八千草薫

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題名:東京物語
出演:笠智衆東山千栄子原節子杉村春子山村聰、三宅邦子、香川京子、東野英治郎、中村伸郎、大坂志郎
制作:山本武
監督:小津安二郎
撮影:厚田雄春
脚本:野田高梧、小津安二郎
音楽:斎藤高順
本編分数:135分
製作国:日本
製作年:1953年
日常の淡々とした生活を描き、その中に人生のはかなさや、人間の哀しさを描くといえば、日本の巨匠、小津安二郎だろう。

特に、日本映画は、作品の中に出てくる日本人ならではの、物言わぬ演技が多い。身振り手振りの多い欧米人に比べ、ぽつぽつとものを言い、黙っていても相手はわかってくれると思っている日本人。

それゆえに、小津監督の映画の良さは、日本人にしか解るまい、と思っていたら、イギリス人の30代の独身男性が、この映画を観て、感動し泣いたと言っていた。管理人の友人であるそのイギリス人は、優しい性格ではあるが、背は高く、がっしりしていて、物事を論理的に考える生粋のイギリス人だ。

それを聞いたとき、管理人は、どこに感動したか尋ねたら、「イギリスでも似たようなことがある」と言っていた。

確かに、この『東京物語』は、東京と大阪で、独り立ちしている子供たちに会いに、尾道からはるばると、東京へやってくる老夫婦(笠智衆東山千栄子)の物語で、よくある話かもしれない。医者の長男・幸一(山村聡)、美容師の長女・志げ(杉村春子)宅などを転々とするのだが、どこでも、毎日の生活が大変で、親の面倒など見てやる時間がないのだ。さっさと熱海の旅館へ追いやる。唯一、戦争で死んだ次男の嫁、紀子(原節子)だけは、二人を歓待し、東京見物に連れて行ってくれる。

子供たちの仕事や生活に邪魔なのではないかと、尾道へ帰った老夫婦だが、母とみ(東山千栄子)が危篤となり、同居している末娘・京子(香川京子)は、東京へ電報へ打つ。

子供たちはその日の内に尾道へと集まるが、母はこん睡状態のまま、帰らぬ人となる。

長女は、悲しむが、「喪服をもって着てよかったわ!」とか、「形見に帯をもらっとくわ!」などと言い、長男ともども子供たちは、葬式が終わった日に、あわただしく東京へと帰っていった。

しばらく残ったのは、仕事を休んだ紀子だけだった。末娘の京子は、兄や姉たちの言動に腹を立てた。しかし、次男の嫁が、「みんな自分の生活が一番なのよ。仕方がないことなの。大人になればわかるわ。」と慰める。だが、その嫁も、亡くなった自分の夫の写真を部屋に飾っていても、忙しくて見ない日もある。段々と忘れていっている自分が恥ずかしいと義父にもらす。

義父の周吉(笠智衆)は、素直な紀子に「あんたが善い人だから、そんなに悲しいんだじゃよ」という。そして、妻とみの時計を、形見として紀子に渡す。

紀子が帰り、周吉は一人縁側で、団扇を仰ぎながら、座っている。いつもの生活が戻ったのだ。
しかし、その丸くなった背中が、今までとは違う生活を語っている。

死と生が、隣り合わせにいる人生。人の死はいつ来るのかわからない。死が来るまで、人は一生懸命生きていく。今となっては、老夫婦で東京に行ったことが、良い思い出となっている。

子供の頃に、この映画を観たときは、なんと、かわいそうなおじいさんとおばあさん。苦労して育てた子供たちに、邪険にされて、なんて思っていた。ちょうど末娘、京子に同調したものだった。

が、大人になり、仕事や家庭に追われると、親のことを気にかける余裕すらない。便りのないのは元気な証拠だと思っているだろうと、親の気持ちを理解することなど、さらさらなかった。

そのうち、若い世代の部下を持ち、子供も大きくなり、年を感じ始める頃、この映画を観ると、なんともいやはや、家族を抱えた長男の気持ちや、仕事に生きがいをもつ長女の気持ちが理解できるのである。

若い末娘も結婚して、子供を持ち、生活に終われ、年老いていく。自分の生活に追われている長男や長女も、いつか年老いて、子供たちに自分が親にしたように、同じことをされることだろう。

管理人は、いつもよい映画を何度も観るとき、その時々で、感じ方や観かたが変ると思っている。それが映画の良さでもあり、おもしろいところであり、永遠なのだと。

いつも人は、いろんな役を演じているのだ。よく人は、死に際に、「もう私の役目は終わった。思い残すことはない」などという。

シェークスピアは、”世界は舞台”であり、”人間はみな役者”だといった。

そして、人の一生は、7場の劇で、人間は、生涯のうちに七つの役を演じるのだと。第1は赤ちゃんで、ピーピー泣いてばかり、第2は、小学生時代、カタツムリさながら、いやいや学校に行く。第3は恋人時代。その次は兵隊の役。泡のような名声を求めて、敵の大砲筒めがけて突撃する。第5は裁判官。腹はデップリ太鼓腹、型にはまった格言ばかり、人を裁きたがる。第6場は、痩せこけて、鼻眼鏡のずり落ちそうな老人役。そして、「この波乱万丈の奇妙な芝居」の幕切れは、「歯もなく、目もなく、味もなければ何もない、まったくの忘却」に終わるというのだ。(『お気に召すまま』より)


それなら、その時々の役を演じ切り、毎日を暮らせばよい。そして役のない人間はいない。必ず、役目がある。

しかし、管理人は思うのである。役者でありながら、脚本家も監督も、そして音楽も、自分ですれば、自分の人生を思うように、創りあげることが出来るのではないかと。




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”苦しみこそ私たちを神に近づける、永遠の勝利は、心で掴むのだ”

勇気と元気が出る映画
02 /07 2009
天と地 特別編天と地 特別編
(2001/04/06)
トミー・リー・ジョーンズヘップ・ティ・リー

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原題:HEAVEN & EARTH
題名:天と地
出演:トミー・リー・ジョーンズヘップ・ティー・リー、陳冲 ジョアン・チェンハイン・S・ニョールデビー・レイノルズ
製作:オリヴァー・ストーン、A・キットマン・ホー、 ロバート・クライン
監督:オリヴァー・ストーン
撮影:ロバート・リチャードソン
脚本:オリヴァー・ストーン
原作:レ・リー・ヘイスリップ
音楽:喜太郎
本編分数:141分
製作国:アメリカ
製作年:1993年
ドルビーデジタル 5.1chサラウンド
ひところは、戦争といえば、ベトナム戦争、戦争後遺症に悩む映画といえば、オリヴァー・ストーンとイメージされていたが、戦争を知らない管理人は、なんとも暗い映画という印象だった。最初にオリヴァー・ストーン監督の戦争映画を観たのは、チャーリー・シーン主演の『プラトーン』だった。次に観たのは、トム・クルーズ 主演の『7月4日に生まれて』、確かに二つの映画は衝撃的ではあったが、暗いイメージしか残らず、何度も観ようとは思わなかった。

それと、管理人は、ベトナム戦争の映画で、一番衝撃を受けたのは、若き日のロバート・デニーロとメリル・ストリープ、そしてクリストファー・ウォーケンの『ディアハンター』だったからだ。

されどされど、そんなオリヴァー・ストーンの映画でも、この『天と地』は、なぜかふっと、また観たくなる。
それは、主人公レ・リーの前向きな生き方に共感するからだろうか?はたまたスティーヴ・バトラー少佐(トミー・リー・ジョーンズ)に、人間の性を見たからだろうか?

元気が出ないときに、この映画を観ると、妙に癒された気分になる。不思議なもんだ。

あらすじは、インドネシアの貧しい農村に生まれ、ベトナム戦争に巻き込まれたレ・リー一家。兄たちはベトコンとなり、北ベトナムへ。レ・リーもスパイ容疑をかけられ拷問を受けたり、レイプされたりと、村にいられなくなり、ママとサイゴンで闇市をして暮らすようになる。そしてそこで、裕福な妻のある男性に囲われ、妊娠、出産をし、生活のために娼婦として働くようになる。このとき、スティーヴ・バトラー少佐(トミー・リー・ジョーンズ)と出会い、彼のたっての願いで、結婚しアメリカへ渡る。

しばらくは、子供が生まれ、幸せな日々が続いたが、なれない外国生活と異なった宗教のため、二人の間に亀裂が入り、ましてやスティーヴは、戦争後遺症に悩まされ、とうとう自殺してしまう。

レ・リーは、改めて彼を愛していたことに気づくが、時はすでに遅し。事業で成功を収めたレ・リーは、故郷へ息子たちを連れて帰る。ママと兄たちは、アメリカ帰りの末娘に違和感を抱き、取り戻せない過去が、戦争が、家族の心を引き裂いていた。

が、レ・リーは父や故郷で、教わった仏教の教えを、しみじみと感じ、これからも強く生きていこうと心に誓うのである。

それは最後のシーンで、幼い頃から苦労をし、運命に翻弄されながらも、生きてきた主人公が、発する言葉だった。

天と地の間に居るのだ!
運命に逆らえば、苦しみ
受け入れれば幸せになる
復讐の連鎖を永遠に断ち切る
その歌は心に中にあり
誕生の時から魂が歌い始める
因果がある限り
苦しみこそ私たちを神に近づける
弱気になる時、強くなれと教え、
恐れる時、勇気を持てと教え、
混乱したら、利口になれと教え、
耐え切れなければ、放せばいい
永遠の勝利は、心で掴むのだ
地上では難しい


もちろん、最初から最後まで、この映画を観た後に、印象に残るせりふであるが、「弱気になる時、強くなれと教え、恐れる時、勇気を持てと教え、混乱したら、利口になれと教え、耐え切れなければ、放せばいい」というのは、なんとなく、うなづけるものがある。

観終わった後に、思い出した本があった。それは、ユン・チアンのべストセラー「ワイルド・スワン」だ。あの「マオ―誰も知らなかった毛沢東」の著者でもある。

中国とベトナムでは、舞台こそ違うが、同じ仏教国であり、カトリックが多いアメリカや、多神教の日本からみれば、宗教の壁が価値観を変え、生き方を変えていると納得できる。ユン・チアンはイギリスから、レ・リーは、アメリカから、母国を視ていて、本当は愛国心があるのではないか、と管理人は思うのである。

最近の日本人は、愛国心がないなどという人がいるが、一度でも海外から母国を視ると、誰でも民族魂が宿っているのがわかる。

さておき、管理人は、この最後のせりふのように、時々、耐え切れなくなるので、手放していることが多い。混乱したら、利口にならないといけないとは思うけど、恐ろしいときは、勇気どころか、逃げの一手に限る・・・とも思うのであるが、皆さんはどうですか?

一度、この映画を観てみて!


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演技の競演と、いつまでも耳に残る名曲!

音楽で癒される映画
02 /03 2009
耳に残るは君の歌声 特別版 [DVD]耳に残るは君の歌声 特別版 [DVD]
(2002/08/23)
クリスティーナ・リッチジョニー・デップ

商品詳細を見る

原題:The Man Who Cried
題名:耳に残るは君の歌声
出演:クリスティーナ・リッチジョニー・デップケイト・ブランシェットジョン・タトゥーロ、ハリー・ディーン・スタントン、クローディア・ランダー・デューク 、パロ・ヴェロン、オレグ・ヤンコフスキー
製作:クリストファー・シェパード
監督:サリー・ポッター
撮影:サッシャ・ヴィエルニー
脚本:サリー・ポッター
音楽監督:オスヴァルト・ゴリジョフ
音楽監修:サリー・ポッター
美術:カルロス・コンティ
本編分数:97分
製作国:イギリス・フランス
製作年:2000年
ドルビーデジタル 5.1chサラウンド
『スリーピー・ホロウ』で共演したジョニー・デップクリスティーナ・リッチに、この映画でアカデミー賞助演女優賞を勝ち取ったケイト・ブランシェットと、ベテラン俳優ジョン・タトゥーロが、四つ巴とも言える名演技を見せてくれた。ジョン・タトゥーロとジョニ・デップは、『シークレット・ウィンドウ』でも共演している。

時は、1927年のロシヤ、7歳のフィゲレは、オレグ・ヤンコフスキー演じる父の美しい歌声で、いつも子守唄を歌ってもらっていた。貧しさゆえに、父親はアメリカへ出稼ぎに行くことになり、別れ別れになった。その後、村は暴徒に焼き討ちされ、幼いフィゲレは、村の人々とともに、アメリカへ向かった。

ところが、船は何かの間違いでイギリスに着いてしまった。フィゲレはスージーという名前に替えられ、過去を捨て、全く別の世界で生きることになる。新しい世界になじめず、孤立したスージーだったが、父親とふるさとで歌った歌は忘れなかった。

このフィゲレの幼少期を演じたのが、なんとも愛らしいクローディア・ランダー・デュークだ。

10年後、スージーは、アメリカに行く夢を追い、パリでコーラスガールの仕事につく。そこで知り合ったローラ(ケイト・ブランシェット)と同居するようになるが、ローラは金持ちの男と結婚することを夢見ていた。ある舞踏会で、イタリア人のオペラ歌手・ダンテに取り入り、スージーとともに、劇団で働くことになる。そこで知り合ったジプシーのチェーザー(ジョニー・デップ)と、ユダヤ人のスージーは、共に社会から阻害された者同士として惹かれあう。

映画の流れは、ナチスのパリ占領と第2次大戦の幕開けとなり、ローラはダンテに失望し、スージーは、ユダヤ人狩りをはじめたナチスから逃れるため、泣く泣くチェーザーと別れ、アメリカ行きの船に乗る。

一見、ふたりは、やっとこれからアメリカですばらしい日々を、送ることができると思いきや、船はドイツ軍に爆撃されてしまう。

運命とは不思議なもので、ローラはプールで泳いでいるときに死んでしまう。そしてスージーは生き残り、アメリカで父を探し、瀕死の病人であった父と再会する。幼い頃のフィゲレしか記憶にない父に、スージーは、かつて父が歌ってくれた子守唄を歌うのだった。

4人の俳優の競演ともいうべき、それぞれがそれぞれの雰囲気を醸し出し、物言わぬとも、登場人物になりきっていたのは、さすがである。

映画の中で流される音楽の効果も大きい。ビゼーのオペラ「真珠採り」から♪♪やプッシーニの「トスカ」から♪♪など、サリ・ポッターに言わせると、世界中の人が聞いても理解できる曲をさがしたという。

オペラなら、パヴァロッティだろうが、最近見つけた歌姫ミリアム・ストックリーの♪エターナル♪というアルバムは、なかなかのものだ。

この映画の挿入曲も入っている。 ここで視聴できるよ♫




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eigazanmai

映画・えいが・EIGA・CINEMA・MOVIEは人生になくてはならないもの、我が映画館へようこそ!!

記事中に、いくつも作品がでてきます。
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